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市販の水虫薬をひと夏塗ったのに、秋になるとまたかゆくなる。爪が白く濁ってきたが、塗り薬を続けても変わらない――。こうしたご相談は珍しくありません。結論から言うと、水虫が「治らない」と感じるときの原因は大きく3つです。①そもそも水虫ではない ②薬をやめるのが早すぎる ③爪の水虫に塗り薬だけで対応している。いずれも、顕微鏡で菌を確かめる検査をしてから治療方針を決めることで、遠回りを避けられます。
この記事では、札幌市豊平区の中の島はやし皮フ科が、水虫の検査と治療期間の目安を、公的なガイドラインの記載とあわせて整理します。
理由は3つに整理できます。
足のかゆみ・皮むけ・水ぶくれを起こす病気は、水虫(足白癬)だけではありません。汗による湿疹、靴やインソールによるかぶれ、皮膚カンジダ症、癜風なども似た見た目になります。原因が違えば必要な薬も違うため、水虫用の薬を塗り続けても改善しないことがあります。
日本皮膚科学会・日本医真菌学会の『皮膚真菌症診療ガイドライン2025』は、真菌症は感染症であり、診断の基本は病巣からの病原菌の検出であるとしています。見た目だけで判断するのではなく、菌がいるかどうかを確かめることが出発点になります(出典:日本皮膚科学会)。
かゆみや皮むけが治まっても、皮膚の中に菌が残っていることがあります。同ガイドラインは足白癬の治療について、鏡検で菌が陰性であることを確認したあと、さらに1か月の塗布を追加することを示しています(出典:日本皮膚科学会)。「見た目が治った=治療終了」ではない、ということです。
爪が白く濁る・厚くなる・ボロボロになるといった症状は、爪白癬(爪水虫)の可能性があります。爪は硬く厚いため、皮膚用の塗り薬では十分に薬が届きません。爪白癬には爪専用の外用薬か、飲み薬による治療が必要になります。

水虫が治らないと感じる3つの理由
確かめる方法は、皮膚や爪の一部を採って顕微鏡で見る検査(直接鏡検)です。ガイドライン2025は、この検査を迅速かつ確実な診断法とし、これによりただちに治療を開始できるとしています。爪白癬では、爪甲剝離部位や爪の先端部を除去し、爪床に近い深部を検査材料とすることが示されています(出典:日本皮膚科学会)。
「水虫だと思って市販薬を使っていたが、実は湿疹だった」というケースは実際にあります。逆に、湿疹だと思っていたものが白癬だったということもあります。塗り薬を買う前に一度確かめておくと、治療期間を短くできる可能性があります。
足白癬(足の水虫)は、病型によって必要な期間が変わります。ガイドライン2025が示す外用治療期間の目安は次のとおりです(出典:日本皮膚科学会)。
| 病型 | 主な症状 | 外用治療期間の目安 |
|---|---|---|
| 趾間型 | 指の間の皮むけ・ふやけ・かゆみ | 2か月以上 |
| 小水疱型(汗疱型) | 土踏まずや足のふちに小さな水ぶくれ | 3か月以上 |
| 角化型 | かかとが硬く厚くなり、粉をふく | 6か月以上 |
つまり「1〜2週間塗って治らないから効かない」という判断は早すぎることになります。とくに角化型は半年以上かかることを前提に、塗り続けられる計画を立てることが大切です。

足白癬・爪白癬の治療期間の目安
当院では、外用による治療の目安を約3か月、爪白癬の内服による治療の目安を約3か月とご説明しています。ただし上記のとおり病型によって必要な期間は変わりますので、実際の期間は診察のうえでお伝えします。
爪白癬には、飲み薬と爪専用の外用薬の2つの選択肢があります。
当院ではネイリン(ホスラブコナゾール)を使用することがほとんどです。添付文書では、成人は1日1回1カプセル(100mg)を12週間内服する用法が定められています(出典:PMDA 添付文書情報)。12週間はおよそ3か月にあたります。
注意点(重要):臨床試験では、γ-GTPやALT・ASTといった肝機能の検査値が上がることがあると報告されています。ガイドライン2025でも、義務ではないものの肝機能検査を行うことが望ましいとされています。肝臓の病気がある方は慎重な判断が必要です。飲み合わせの確認もありますので、服用中のお薬はすべてお申し出ください。
なお、薬を飲み終えても、すぐに爪がきれいになるわけではありません。濁った部分が伸びて切り落とされるまでには時間がかかります。治療後の経過も含めて見ていく必要があります。
当院ではクレナフィン(エフィナコナゾール)・ルコナック(ルリコナゾール)のいずれも使用できます。ガイドライン2025では、どちらも1日1回、罹患した爪に塗布する薬として推奨度Bに位置づけられています(出典:日本皮膚科学会)。
飲み薬と外用薬のどちらを選ぶかは、爪の濁り方や範囲、ほかに飲んでいる薬、肝臓の状態などを踏まえて決めます。
ガイドライン2025は、日本臨床皮膚科医会が主導した潜在罹患率調査「Foot Check 2023」を引用しています。この調査は全国211施設の皮膚科外来を受診した患者14,588例を対象としたもので、結果は足白癬 13.7%(男性18.9%・女性9.6%)、爪白癬 7.9%(男性11.6%・女性5.8%)でした。ガイドラインはここから、7人に1人が足白癬、13人に1人が爪白癬に罹患していると推測される、としています(出典:日本皮膚科学会)。
※この数字は皮膚科を受診した方のなかでの割合です。とはいえ、水虫以外の症状で受診した方も含まれており、自覚のないまま罹患しているケースが少なくないことを示しています。
決して珍しい病気ではなく、家族のあいだでうつることもあります。ご自身の治療と同時に、バスマットやスリッパの共用を見直すこと、足をよく乾かすことも再発の予防につながります。
水虫の治療は、数か月にわたって通い続けられるかが結果を左右します。札幌では冬の通院が負担になりやすく、途中で中断すると再発しやすくなります。
※金額は症状・処置の内容によって変わります。上記は目安としてご覧ください。
なお、夏は水虫のほか、あせも・虫刺され・とびひ・癜風・水いぼのご相談が増えます。気になる症状があれば、あわせてご相談ください。
Q. 市販薬を塗っています。受診したほうがよいですか? A. 1か月ほど使っても変化がない場合や、爪に症状がある場合は、一度検査をおすすめします。原因が違っていると、塗り続けても改善しません。
Q. 検査はその日にできますか? A. はい。真菌顕微鏡検査は院内で行っており、結果は0〜3分で出ます。
Q. 検査は痛いですか? A. 皮膚の表面の一部や爪の先端を少し採取します。麻酔が必要な処置ではありません。
Q. 飲み薬は誰でも使えますか? A. 肝臓の状態やほかに飲んでいるお薬によっては、内服をおすすめしない場合があります。診察のうえで判断します。
Q. 家族にうつりますか? A. うつることがあります。バスマット・スリッパ・爪切りの共用は避け、足をよく乾かしてください。ご家族に同じような症状がある場合は、一緒にご相談ください。
Q. 予約は必要ですか? A. 通常の診療は予約制ではなく、受付順です。
皮膚病は治るものも多いので、恐れず早めに受診してください。(院長)
水虫は、原因を確かめてから適切な薬を必要な期間続けることで、コントロールしやすくなる病気です。「治らない」とあきらめる前に、まず検査をご検討ください。
▶関連記事:『札幌で皮膚科を選ぶときの6つの視点|専門医・検査体制・通いやすさを豊平区の皮膚科が解説』
監修:院長 林 大幹(日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医)
出典 – 日本皮膚科学会・日本医真菌学会合同「皮膚真菌症診療ガイドライン2025」 https://www.dermatol.or.jp/medical/guideline/4742/ – 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ネイリンカプセル100mg」添付文書関連資料 https://www.pmda.go.jp/drugs/2018/P20180117001/300089000_23000AMX00012000_B100_1.pdf
※記載の費用は2026年9月時点の情報です。治療内容・期間は症状により異なります。最新の内容は当院にご確認ください。